今村 淳

京都市生まれ
ニューヨーク市立大学ハンターカレッジ美術学部卒業(首席)
東京藝術大学大学院美術研究科修了                 
博士(文学)

 

1992年 

第2回ARTBOX大賞展(麻布美術工芸館)

1993年 

マーク・コスタビ・コラボレーション展 大賞受賞

マーク・コスタビ氏と共同絵画制作する(麻布美術工芸館)

1999年

第28回現代日本美術展(東京都美術館、京都府立美術館)

第9回ARTBOX大賞展(アートミュージアムギンザ)

2000年

フィリップモリスアートアワード2000(恵比寿ガーデンプレイス)

2002年

渡米

2006年 

個展「Red Paintings」(ニューヨーク市立図書館)

2007年

ニューヨーク市立大学ハンターカレッジBFA展(The Bertha and Karl Leubsdorf Art Gallery)

アーティスト・レジデント(ヴァーモントスタジオセンター)

2012年

個展「2010年4月3日 ウィーン」(ZAP Gallery、白金)

GTS(藝大・台東・墨田)アートプロジェクト(シタマチBase)

個展「Digital Image Painting—眩さ—」(Nakagawa Gallery、銀座)

2014年

美術教育研究会第20回企画展「つくったり考えたり—美術教育からのメッセージ—」(東京藝術大学大学美術館)

2016年

論文「「形式性」がもたらす「共存性」—ベルクの歌劇《ルル》の「生」—」(ベルク年報〔16〕、日本アルバン・ベルク協会)

2018年

個展「12 gaze—12のまなざし—」(Nakagawa Gallery、銀座)

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《Digital Image Painting》とは

デジタルカメラやインターネット、そして他者が撮影したものも含む写メールなどから得た画像を

プリントアウトし、その上にその画像を写実的に油彩で「上描き」した作品である。この上描きは、

「下描き」(或は「完成図」)を他者に委ね自己を主体とせず行う表現といえる。自己(内的世界)の

存在とは、自我によって在るのではなく、他者(外的世界)とのコミュニケーションによってはじめて

認識されるものとしたならば、ここでのコミュニケーション方法「情報の上描き」=「ただ描く」という

意識での行為が自己の存在をより鮮明にかたち作ってゆく。これをデジタル社会における量産と消費の短命な

時間との及び現代社会における他者との相関的コミュニケーション(人間の生のあり様そのもの)として、

わたしはこの行為=表現を繰り返している。

思想家レッシングは、著書『ラオコオン』(1766)で、「パラゴーネ」と呼ばれる異なる芸術領域間に

おいての表現方式と表現対象の比較を論じた。絵画、彫刻という表現方式は空間芸術として捉えられ、

それらの表現対象を物体とした。ニーチェは、著書『悲劇の誕生』(1872)で、絵画などの造形芸術を

アポロ的、音楽などの非造形芸術をディオニソス的と呼び、これら空間、時間の両芸術は互いに

対立しあいながら結びつくことを芸術の発展と詠った。このニーチェの芸術概念との共感とは、

まさしく長年制作を続けてきた《Digital Image Painting》との共鳴である。

プロジェクターを用いた作品においても、ニーチェが唱えた芸術の発展型である「空間と時間の結合」を

目指している。既存の時間軸の一点から新たな時間軸を派生させるかのように、

連続する時間のなかの一瞬である一枚の物体(《Digital Image Painting》)を実物投影機で捉え、

プロジェクターによってリアルタイムで鑑賞者のいる空間へと放つ。

そこには常に更新され続ける終わらない画が存在する。

鑑賞者が目にしているものは表象的には私が描いた物体であるが、同時に概念的な時間でもある。

私にとって、このような空間と時間の相互作用へのこだわりは、

「空間かつ時間の存在」という異なるもの同士間の相関性のあり様そのものの表現であり、

この視点をもって、歴史に残る芸術家達が導きだそうとした芸術の「真理」を追求している。

 

《12 gaze》とは

近年は《Digital Image Painting》に基づく《12 gaze》シリーズを中心に制作している。

《12 gaze》とは、ひとつのイメージをもとに12枚のヴァリエーション(変奏)を描く行為である。

それら12枚の絵は短時間で完成され、それら12枚で一組となる。

描く際、色数および筆数も同じ、色を載せる手順も同じにする。

しかし、私(人間)の筆跡(行為)はそれぞれ異なる。

この芸術的行為は、社会、世界、宇宙に生きる人間のあり様そのものにほかならない。

《12 gaze》は、12という数字が示す時間と空間のユニバーサルサイクルを生きる

異なるもの同士の共存を意味している。

言い換えるならば、ここでのヴァリエーション(変容性)とシークエンス(連続性)は、

ひとつの共通項が生み出す差異という必然的(自然的)なものを愛することにほかならない。

こうして描かれる私の「守護者」(他者)と団欒し共存しているのである。

 

では