今村 淳 京都市生まれ 博士(文学) 1992年 第2回ARTBOX大賞展(麻布美術工芸館) 1993年 マーク・コスタビ・コラボレーション展 大賞受賞 マーク・コスタビ氏と共同絵画制作する(麻布美術工芸館) 1999年 第28回現代日本美術展(東京都美術館、京都府立美術館) 第9回ARTBOX大賞展(アートミュージアムギンザ) 2000年 フィリップモリスアートアワード2000(恵比寿ガーデンプレイス) 2002年 渡米 2006年 個展「Red Paintings」(ニューヨーク市立図書館) 2007年 ニューヨーク市立大学ハンターカレッジBFA展(The Bertha and Karl Leubsdorf Art Gallery) アーティスト・レジデント(ヴァーモントスタジオセンター) 個展「2010年4月3日 ウィーン」(ZAP Gallery、白金) GTS(藝大・台東・墨田)アートプロジェクト(シタマチBase) 個展「Digital Image Painting—眩さ—」(Nakagawa Gallery、銀座) 美術教育研究会第20回企画展「つくったり考えたり—美術教育からのメッセージ—」(東京藝術大学大学美術館) 論文「「形式性」がもたらす「共存性」—ベルクの歌劇《ルル》の「生」—」(ベルク年報〔16〕、日本アルバン・ベルク協会) 2018年 個展「12 gaze—12のまなざし—」(Nakagawa Gallery、銀座) 2019年 個展「Guardians」(書画画廊、銀座) 2020年 個展「Painting 2020」(Gallery Storks、南青山) 2022年 個展「絶滅種—僕たちが昭和に残した永遠—」(Gallery Storks、南青山) 2023年 個展「Brutal(野蛮)」(Hikari Home、麻布十番)
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《Digital Image Painting》とは デジタルカメラやインターネット、そして他者が撮影したものも含む写メールなどから得た画像を プリントアウトし、その上にその画像を写実的に油彩で「上描き」した作品である。この上描きは、 「下描き」(或は「完成図」)を他者に委ね自己を主体とせず行う表現といえる。自己(内的世界)の 存在とは、自我によって在るのではなく、他者(外的世界)とのコミュニケーションによってはじめて 認識されるものとしたならば、ここでのコミュニケーション方法「情報の上描き」=「ただ描く」という 意識での行為が自己の存在をより鮮明にかたち作ってゆく。これをデジタル社会における量産と消費の短命な 時間との及び現代社会における他者との相関的コミュニケーション(人間の生のあり様そのもの)として、 私はこの行為=表現を繰り返している。 プロジェクターを用いたインスタレーションでは、《Digital Image Painting》を実物投影機で捉え それを投影している。そこに映され続ける拡大された《Digital Image Painting》の表層は、 まさしくデジタル上(社会)に存在するわたしの行為=表現(人間の生)そのものなのである。
《12 gaze》とは 近年、《Digital Image Painting》に基づく《12 gaze》シリーズを中心に制作している。 《12 gaze》とは、ひとつのイメージをもとに12枚のヴァリエーション(変奏)を描く行為である。 それら12枚の絵は短時間で完成され、それら12枚で一組となる。 描く際、色数および筆数も同じ、色を載せる手順も同じにする。 しかし、私(人間)の筆跡(行為)はそれぞれ異なる。 この芸術的(人間的)行為は、社会、世界、宇宙に生きるあり様そのものにほかならない。 《12 gaze》は、12という数字が示す時間と空間のユニバーサルサイクルを生きる 異なるもの同士の共存性を表現している。 言い換えるならば、ここでの12枚のヴァリエーション(変容性)とシークエンス(連続性)が織りなす 交響は、ひとつの共通項が生み出す差異という自然的且つ人間的なものへの愛にほかならない。
私は、こうして描かれ続ける「守護者」(他者)と「響存」していることを知るのである。 では
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